小学校でプログラミングの考え方を教える授業が始まるという流れのなか、小学生のうちからプログラミングに慣れ親しんでもらいたいと考えておられるご家庭も多いと思います。
そんなとき、どのような環境をお子さんに用意してあげればよいでしょうか?
もし「パソコンを与えるのはまだちょっと早い」と考えれられているなら、この記事で紹介する Raspberry Pi(ラズベリーパイ) はプログラミングの入門機として選択肢に上げられると思います。
プログラミングの学習のために Raspberry Pi を導入する場合において、最低限必要なものや予算について書きます。
Raspberry Pi とは
Raspberry Pi は、イギリスのRaspberry Pi財団によって開発された、シングルボードコンピュータです。
OSをインストールし、キーボードとディスプレイを接続すれば、立派なコンピュータとして動作します。
そして、なんと言っても、通常のPCと比べて本体の価格が数千円で購入できるというメリットがあります。
Windows の PCを購入する場合、本体にWindowsにウィルス対策ソフトに、と安くても数万円はかかってしまうでしょう。
Raspberry Piなら、OSはフリーソフトとして無料でダウンロードできますし、プログラミングの入門機として使用するために導入するソフトウェアも無料でダウンロードできます。
OSについては、通常はLinux系のOSをインストールすることになりますので、プログラミングの環境は十分に揃います。
例えば、プログラミングの入門としてよく耳にするScratchはもちろん、RubyでもPythonでもPerlでもJavascriptでもPHPでも、またC、C++、Java、C#、Go、など、有名なものはフリーソフトとしていろいろなサイトに用意されています。これらをダウンロードしてインストールすれば、学びたいプログラム言語の処理系や環境が容易に手に入ります。
また、このRaspberry Piは他にもいろいろな使い方ができます。
GPIOと呼ばれる端子が備わっていて、ここで外部の機器と通信したり制御したりすることが比較的簡単にできるのです。
例えば、ここにセンサやモーター制御回路などをつなげて、プログラムによってそれらからデータを取得したりコントロールしたりすることができます。
プログラムによってデータを取得したり物を動かしたりできるという体験は、子どもたちにとっては非常におもしろいでしょうし、貴重な体験になるでしょう。
Raspberry Pi の立ち上げに必要なもの
まず、最低限必要なものを上げます。
最低限購入が必要なもの
- Raspberry Pi 本体
- Raspberry Pi 用電源アダプタ
- micro SDカード
- HDMIケーブル
- USBキーボード
最低限購入するものとして上げるならば、この5つです。
この5つがあれば、コンピュータとして十分に機能します。
ただし、HDMI入力付きのディスプレイは必要になります。これはまずはご家庭のTVを利用することにしましょう。
最近のTVには大抵の場合、HDMI入力端子が備わっていると思います。この入力端子を使用するのです。
万一そのようなTVがない場合は、HDMI入力端子付きのPCモニタを別途購入する必要があります。
SDカードは32GBは欲しいところです。16GBでも動きますが、処理系をどんどんインストールしていくと思いますので、経験的にはやはり32GBはあったほうがよいと考えます。
ただし、私は試していませんが、64GBのSDカードを使用する場合は注意事項があるようです。
このSDカード、実は Raspberry Pi と"相性"がよいものと悪いものが存在するようです。私はTOSHIBA製の32GBのSDカードを使用しています。メーカーによっては、うまく動作しないものもあるようです。
USBキーボードは、お好みのものを1つ購入してください。Bluetoothも使用可能であるはずですが、私はUSBケーブルがついた有線のUSBキーボードをお勧めします。
さて、最後になりましたが、Raspberry Pi の選択について。この記事を書いている時点では、選択するならば Raspberry Pi 3 Model B+ です。
USBポートが4つ付き、Ether のポートも付き、さらに無線LANモジュールも付いているので Wifi も Bluetoothもこれ一台で使えます。
いろいろな機種がでていて、それぞれ特長があるのですが、この記事の目的、つまりプログラミングの入門機ということであれば、この機種でまったく問題ありません。
Raspberry Pi にはRSコンポーネンツ製とelement14製があります。RSコンポーネンツ製は本国UKと日本、element14製は中国での生産品の様です。私はどちらも使用経験がありますが、製品として、どちらも差は見られませんでした。選択されるときはどちらでもよいと思います。
立ち上げに必要なもの
次に、Raspberry Pi の立ち上げに必要なものを上げます。
- PC
- HDMI入力ができるディスプレイ (TVもOK)
- 有線または無線のネットワーク環境
実は Raspberry Pi を最初に立ち上げるために、PCが必要になります。
Raspberry Pi で使用するOSをSDカードに書きこむために使用するのです。
PCのOSは Windows, Mac, Linux など、どのOSでも構いません。
HDMI入力ができるディスプレイについては、先ほど述べたとおりです。専用のPCモニタを準備してもよいですが、ご家庭にHDMI入力のTVがあればそれで十分です。
あとは、Raspberry Pi を立ち上げたあと、ネットワークにつないでOSのupdateや Raspberry Pi の Firm updateなどをするために、有線または無線のネットワーク環境が必要です。
普段お使いのインターネット環境でルーターを使用しているならば、有線でも無線でも構いませんのでそのルーターに接続できるようにしていきます。有線ならばLANケーブルが必要になります。
コストはどれくらいかかるか?
モニタとしてTVを使用し、PCやインターネット環境はすでにご家庭にあるものを使用する前提で、Raspberry Pi をプログラミング環境として新規に導入する場合のコストはどれくらいかかるでしょうか?
すべてAmazonで仕入れるとした場合、参考までに以下の値段を上げておきます。値段は調査当時のもので、変動することがありますのでご注意ください。
まず、Raspberry Piですが、以下のケース付きで5,980円。
次にmicro SDカード。以下のもので2,180円。
HDMIケーブルは、以下の2mを購入するとして784円。
USBキーボードは、価格の幅が広いですが、以下のエレコムのモデルで1,701円。
合計10,645円となりました。
先ほども述べた通り、OSやソフトウェアの導入にかかる費用はありません。ご家庭のTV、インターネット環境を使用するならば以上のものだけで揃います。(有線LANの場合はLANケーブルが追加で必要です。)
「実際に触らせてみないと興味を持つかどうかわからないけど、それなりに学習できる環境を用意してやりたい」とお考えになるご家庭では、1つの選択して考えられるのではないでしょうか?
実際に導入するための方法などについては別の記事で扱っていきたいと思います。
まとめ
- プログラミングの学習の環境として、Raspberry Pi は選択肢として十分考えられる。
- OSは無料。またScratch はもちろん、主要なプログラミング言語の環境はフリーソフトで揃えられる。
- 最低必要な機材だけであれば10,000円ちょっとで揃えることが可能である。